レポート−REPORT

ONLINE KOBO 南條工房 with ゲーテ・インスティトゥート京都

ゲーテ・インスティトゥート京都様との企画でオンライン工房 vol.3が開催され、今回オープンファクトリー参加社の南條工房さんにご協力いただき、おりんの工房現場とドイツ各地をZOOMで結び、作業の様子をお見せしながら交流しました。

南條工房さんは、お寺や家庭で仏具として使われる佐波理*製「おりん」を中心に、祇園祭のお囃子(はやし)で使われる鉦(かね)や鳴物神仏具などを伝統の技法で一つ一つ手作りで制作している数少ない工房です。

*佐波理(さはり):古くは正倉院宝物にも用いられた合金のこと。

ドイツからは作曲家や打楽器奏者が参加され、オンラインだからこそ近くに感じられる臨場感を見られ、参加者の皆さんは大変感動されていました。

(左)おりん、(右)LinNe(昨年立ち上げたブランド)

今回のプログラムは、おりんの歴史・日本の文化についての説明から始まり、南條工房さんのおりんの製造工程をオンラインでドイツの参加者に見学いただきました。

南條工房さん特徴の鋳造(今回は動画で説明)
佐波理とは何かの説明
おりんの製造過程の説明

実際に工房に行って、漆を精製している様子を見学しました。
また実際に蒔絵(まきえ:器の表面に細い筆を使って漆で絵を描き、その漆が固まらないうちに上から金の粉を蒔きつけて模様をあらわす技法)をしている様子を見てもらい、漆の性質・役割等の説明を受け、普段間近では見られない所を見せていただきました。

そして実際に音色を決める重要な削りのシーンを実際に見てもらい、こういった細かな作業で音を決めているということをドイツの方々に伝えました。

おりんを削る様子
実際におりんの音を聞いてもらいました。

最後は最近南條工房さんがされている、おりんを使ったインスタレーションの事例を見せて、神仏具のおりんだけでなく、色々な可能性を持ったおりんの音を聞いてもらいました。参加者からは音色またモノづくりに対する質問が多数出て、場が盛り上がりました。

興味深かったのは、おりんの製作過程で南條工房の音に値する音色は検品まで確認できず、だからこそ失敗する過程をなるべく取り除いているというお話でドイツの方も感心してました。国は違っても共通する部分は多いので、こういった交流はとても大事だなと再認識しました。

今後もDWKはオンラインオープンファクトリーをしていきますので、乞うご期待ください。