レポート−REPORT

「DESIGN WEEK KYOTO 2024 -Evolving “MADE IN KYOTO”-」学生参加レポート④

MADE IN KYOTO TOUR【8/28(水) in 亀岡エリア】自然素材 × 文化 〜亀岡の歴史と循環するモノづくりに触れる旅〜

京都のモノづくりの現場を訪れ、担い手の人たちと交流しながら、モノづくりと地域の関わりを考える【MADE IN KYOTO TOUR】。

今回は6つのコースから選ぶことができ、京都市内だけでなく、宇治、亀岡、中丹、丹後の各エリアで開催されていました。その中から紹介するのは、亀岡ツアーです。

みなさん、亀岡に行ったことはありますか?
京都生まれ、京都育ち、いわゆる生粋の京都人の私ですが、実は、亀岡を訪れるのは初めてでした。高校時代、亀岡から通っていた同級生が、霧や倒木、動物との接触でJR嵯峨野線のダイヤがよく乱れるとぼやいていたことを思い出しながら、いざ保津峡を越えて、亀岡へ。

  • ツアーのスケジュール

    JR亀岡駅北口に集合 (10:00)

    ①保津川の川辺・請田神社対岸あたり(10:20~10:35)

    ②古一漆工でのオープンサイト(11:00-12:00)

    ③ランチ: Pepin CAFE(約1時間 )

    ④出雲大神宮(13:50~14:20)

    ⑤京すだれ川崎でのオープンサイト(14:30~15:30)

    JR亀岡駅で解散(16:00)

1日かけて亀岡を巡る盛りだくさんのツアーでしたが、移動は貸切のマイクロバスなので快適でした。体力に自信がなくても大丈夫です。
参加者はなんと国籍も年齢もさまざまで、ツアーは英語を織り交ぜながら進められていきます。コーディネーターの方から亀岡の歴史を学びつつ、参加者から質問がでたり、参加者同士の会話も弾んだり、和気藹々とした雰囲気でした。

ツアーのスタートは、保津川から。

亀岡から嵐山まで、四季折々の渓谷美を楽しめる「保津川下り」の出発地近くに行きました。この保津川下り、今では人気の観光アクティビティとして有名ですが、元々は丹波木材などを京の都に運ぶ重要な水運として、400年ほど前に開かれました。そして、請田神社は保津川の氏神を祀っているそうです。
また、亀岡市が位置する亀岡盆地には、かつて大きな湖があり、今でも豊富な地下水が流れていること、それによって農業が盛んであることを学びました。

次に訪れたのは、「古一漆工」さん。

仏壇や仏具の漆塗りを手掛ける工房です。縄文時代にまで遡る長い歴史を持つ漆には、防腐、防水、防虫などの効果があります。つまり、漆を塗るのは、艶やかな色や気品ある風合いを作り出すためだけでなく、モノの耐久性を高めるため。とてもサスティナブルな技術だと知り、生活にも漆製品を取り入れていきたいと思いました。

出雲大神宮

その後ランチに、Pepin CAFEにて美味しいイタリアンを頂いて、エネルギー満タンで訪れたのは、出雲大神宮です。「日本一の縁結び」で有名なこの神社には、御神体山から名水・真名井の水が湧き出ています。延命長寿の水として、昔から飲み水はもとより、酒造りなどさまざまに利用されてきたそうです。この豊富な湧き水をみて、保津川で学んだ「水の亀岡」の清らかさ、豊かさを改めて感じました。

京すだれ川崎さん。

そしてこのツアーの締めくくりは、京すだれ川崎さん。様々な種類のすだれや御簾(みす)はもちろん、ランチョンマットなど、現代の暮らしに合わせたインテリア雑貨なども手がけている工房です。ここでは、すだれに使われる植物の種類から、すだれを編む技術まで、丁寧に教えてもらいました。
そして、なんと編み機にも挑戦させていただきましたが、機械といえどほとんど手作業で、綺麗に仕上げることはとても難しく、熟練の技の凄さを実感しました。

まとめ ・ 総括

亀岡の地形、歴史を土壌にして、生活と深く関わりながら営まれるモノづくりの魅力と現場が抱える課題に触れた、充実の1日でした。

今回訪れたふたつの工房はどちらも、今日まで繋ぎ、磨かれてきた技術力がなによりの魅力だと思います。一方で、伝統的な素材や道具の調達が年々難しくなってきているという課題も共通していました。
何事も、一度絶えたものを復活させるには、途方もない時間とお金、労力がかかるもの。
脈々と受け継がれてきたモノづくりを未来に繋げるために、自分にできることを考えていきたいと思います。

執筆:同志社大学院生