レポート−REPORT

【Report】中小・個人のモノづくり関係者のための学びと実践シリーズ 第1弾! 「地域文化を活かしたブランディングと人材育成」

10月17日に、岩手県一関市にて100年を超えて暖簾を守り続ける「京屋染物店の専務取締役 蜂谷淳平さん」を講師としてお招きしオンラインセミナーを実施しました。蜂谷さんには、地域文化を基盤にした事業づくりと革新的な経営改革の実践についてお話しいただき、非常に学び深い時間となりました。

〜岩手の文化を軸にした事業ブランディングの実践〜

岩手は縄文文化や蝦夷(えみし)文化が色濃く残る地域で、巨石信仰や獅子踊りなどの郷土芸能が今も生活に息づいています。蜂谷氏は、この「自然・文化と共にある暮らし」を京屋染物店の事業の根幹に据えながら、新しい価値づくりに挑戦しています。

〜コロナ禍の危機を転機にした事業転換〜

コロナにより、祭礼の中止で売上の約8割が失われるなかで、京屋染物店は自社ブランド「縁日」を立ち上げ、地域文化を日常に取り入れた商品開発へ大きく舵を切りました。古民家を改修し「ローカルスタンダードビレッジ」を拠点化。サッパカマやマタギモンペなど、伝統衣服を現代の暮らしに合う形に再編集し、染め直しサービスなど持続可能なものづくりも推進しています。

〜人が育ち、会社が育つ人材育成の仕組み〜

京屋染物店は、事業の改革と合わせて、勤務時間の20%を研修にあてるなど、社員教育にも力を入れてきました。従業員が自ら会社を動かす主体へと育つよう、主にマネジメントゲーム研修と、kintoneを活用し情報共有と業務管理に取り組まれています。

マネジメントゲームは、従業員一人ひとりが“社長”となって自らの会社を経営するシミュレーションゲームのこと。京屋染物店では、このマネジメントゲームを定期的に行うことで、従業員に経営感覚が身につき、数字への理解が深まり、従来の家族経営から社員の自主性と専門性を重視する組織へ変革してきました。

〜まとめ〜

蜂谷さんのお話の中で特に印象的だったのは、文化を単なる付加価値として扱うのではなく、“地域そのものを事業の核に据える”という姿勢です。目先の利益だけでなく、地域の自然・文化・暮らしを未来につないでいく視点は、これからの地域企業に求められる指針のひとつであると感じました。


次回の「学びと実践シリーズ 第2弾」は、京屋染物店の従業員の皆さんが経営感覚を磨くきっかけとなってる”マネジメントゲーム研修"です!社員が主体的に動く組織を作られたい方や人材育成に力を入れたい方など、ぜひご参加ください!