DESIGN WEEK KYOTO は、地域に根づいた「モノづくり」をキーワードに人々が集い、年間を通じて交流することで、たくさんの新しい出会いやインスピレーションが生まれるコミュニティ。モノを作る人、使う人、その間をつなぐ人など、普段の肩書や職業に垣根はありません。
DWKのイベントをきっかけに、地域の叡智に触れ、職人の技やこだわりに感服し、できあがるモノに魅せられた人の中には、自分も「作る側に行きたい!」と志すまでに至る人も。DWKに参加したことで人生が変わったと言っても過言ではない、そんなエピソードをご紹介します。
ストーリー−STORY
オンライン工房訪問で見えた工場の実際の様子に興味を惹かれ、就職へ
DWK:最初にDWKをどのように知りましたか?また、実際に OEPN HOUSE に参加されたときの感想を教えてください。
三谷:もともと京都の伝統産業や染色に興味がありました。草木染めなどの染色を学びたかったのもあり、大学では応用生物学科を専攻していました。就職先を考えていたとき、関連のある企業をインスタグラムでフォローしていて、その延長で DWK の存在を知ったのが最初です。
京都の伝統産業に関わる企業で、広く情報公開をしているところは多くはないと感じていた中、川島織物セルコンの情報を得られたのは嬉しい発見でした。そして、実際にDWKに参加して、ホームページなどを見るだけでは分からない働く方々の想いなどに触れることができたり、オンラインイベントでは直接質問ができたりと、貴重な体験ができました。
川島織物セルコン:会社側としても、モノづくりの現場を一般に公開する機会を活用することで、より多くの方に当社のモノづくりを知ってもらいたいとの思いからDWKに参加しました。各現場の担当が、自らお客様に説明を行う機会を作ることで、知識の習得や現場のモチベーションアップにつながっていると感じます。
DWK:OPEN HOUSE で会社を訪問してから入社に至るまでには、どのような経緯がありましたか?
三谷:川島織物セルコンのオンライン工場見学に参加するまでは、大きな工場で機械染色等がおこなわれているイメージが強く、自分の想像していた手染めとは少し違うと、勝手に想像をしていました。でも、オンライン工場訪問で実際の現場を見て、手染めも行っていると知り、チャンスがあるなら挑戦してみたいと直接問い合わせました。
DWK:普段のお仕事で、やりがいと感じること、今後身に着けていきたいことなどあれば教えてください
三谷:やりがいを感じるところのひとつは、開発の担当者から指定された色に糸を染め上げるため、染料の配合や染色方法を考えるところです。糸が均等な色や風合いに染め上がるように、糸の巻き方を工夫することもあります。
最初は指定された色を出すことが難しく、何度も染め直ししたりと、悩んだこともありましたが、先輩に教えてもらったり、何度も経験を重ねるにつでてコツもつかめ、少ない回数で目指す色に近づけられるようになってきました。試行錯誤を重ねて色出しをして、開発の担当者からOKをもらえた時は本当にうれしいし、やりがいを感じます。
糸についてまだまだ知らないことも多く、糸を巻く機械も使いこなせていないので、これからもたくさん勉強して、糸を巻くところから染めるところまで一貫して自分で出来るようになりたいです。いずれは、就職のきっかけにもなった手染めにも関われたらと思っています。
DWK:DWKに参加することの意義、どのように活用できるかなど、それぞれの視点で教えてください。
三谷:DWKに参加することで、自身の興味のある分野以外にも触れることができ、自身の知識や興味も広がります。
川島織物セルコン:取り引きがあったり、何か関連のあるお客様にモノづくりの現場を見てもらう機会はあるが、一般の方に現場を見ていただく機会はなかなか無く、広く当社を知ってもらえるとても良い機会だと感じています。ほかの OPEN HOUSE 参加社の事例なども参考にさせてもらいながら、より魅力的な企画を検討していきたいです。
お話を聞いた方
三谷 紀乃(みたに・きの)さん
川島織物セルコンの商品本部生産部インテリア生産グループに所属し、カーテンに使用する糸の染色方法の研究・開発などを担当。
◎株式会社川島織物セルコン
約180年の歴史を持つ老舗ファブリックメーカー。帯や緞帳などの美術工芸織物からカーテン等のインテリア製品まで幅広く生産。帯・緞帳の、伝統的な手仕事によるモノづくりを進める一方、カーテンの機械による量産も手掛ける。過去のDWK では、それぞれの生産現場を「染め」と「織り」の工程にスポットを当て、オンラインで工房訪問などを開催。世界最大級の大機で緞帳を織る様子、大きな釜でカーテンの糸を染め上げる様子などを多くの人が体験した。